特集 CKD診療のトピックス
バルドキソロンメチル
~課題と腎保護作用への期待~
Pharma Medica Vol.36 No.1, 13-16, 2018
糖尿病性腎臓病はわが国の透析導入の原因として最も多く,糖尿病性腎臓病患者においては心血管リスクも高いことから医療経済的にも大きな問題となっている。糖尿病性腎臓病の発症には多くの要素が関連するとされ,以前より知られた糸球体内圧の上昇によるもののほか,酸化ストレスや炎症,ミトコンドリア機能の障害,小胞体ストレス,終末糖化産物,サイトカイン・成長因子あるいはヒストン・クロマチン修飾やmicro RNAなどのエピジェネティックな機序が報告されている。これら多くのメカニズムに関する研究が進んでいる一方で,病態生理の全体像はまだ明らかとはいえない。現時点で糖尿病性腎臓病の進行を遅らせる治療としては血圧・血糖のコントロール,ACE阻害薬・ARBによる蛋白尿抑制・腎機能低下抑制が知られており,脂質異常症・高血圧なども含めた多角的なアプローチにより腎予後の改善が得られるとされる1)2)。一方で治療薬に関しても特異的な効果をもつものは知られておらず,新薬の開発が熱望されている。
「KEY WORDS」糖尿病性腎臓病/バルドキソロンメチル/Nrf2
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。