特集 うつ病診療のトピックス
子どものうつ病
Pharma Medica Vol.35 No.12, 41-45, 2017
わが国において,うつ病といえば成人の精神疾患であると考えることが多いだろう。しかしながら,近年の「子どもでもうつ病になる」という考えは,操作的診断基準の浸透とともにわが国にも浸透してきた1)。2017年には,うつ病治療ガイドライン第2版が出版され,児童思春期のうつ病についても触れられるようになった2)。しかしながら,筆者が児童精神科医として20年弱働いてきた感想としては,成人期の内因性うつ病と同じような病態をとる子どもはきわめてまれであるというのが,臨床的な本音である。
本稿では子どものうつ病を概観しながら,安易に「子どものうつ病」と診断せず,まずは診察室に現れた子どもが抑うつ的にならざるを得なかった生育歴や環境因を考えるべきであるという筆者の考えを述べたい。
「KEY WORDS」子ども/うつ病/思春期
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。