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特集 うつ病診療のトピックス

職域のうつ病

~休んで治すか,働きながら治すか~

高野知樹

Pharma Medica Vol.35 No.12, 29-33, 2017

うつ病の治療も他のさまざまな疾患と同様に,「早期対応」が重要であるのはいうまでもない。初発のうつ病であれば,受療行動そのものも1つのハードルではあるが,治療経過中に「早期対応」として精神科主治医が休業による治療を提案しなければならないこともあるだろう。1人の社会人が仕事を休むことは,職場や家庭生活にも大きな影響を与えるため,患者本人にとっても一大決心の局面に立たされる。しかし休養を要する状態では,本人による決断が困難であることも珍しくない。
一方で,精神科主治医が,本人のみならず職場や家族への影響をあまり考慮せずに容易に要休業の診断書を発行してしまうこともある。それにより,患者に対する職場からの信頼を下げてしまったり,家族の不安を惹起してしまったりすることもある。結果として,精神科医に対する不信感が,職場や家族に生まれることすらある。
こうしたことから,休業による治療の要否の判断は,その後の患者の社会生活の良し悪しにもつながる重要な事項といえる。本稿では,うつ病治療における就業継続や休業の要否の判断に関することをいくつかの視点から述べたい。
「KEY WORDS」うつ病/就業区分/安全配慮義務/事例性/職場復帰/4つのケア

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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