特集 うつ病診療のトピックス
抗うつ薬が本当に効くうつ病
Pharma Medica Vol.35 No.12, 19-21, 2017
抗うつ薬が本当に効くうつ病,というテーマを考えるにあたり,まず抗うつ薬を使うかどうかを検討する第一段階として,その病態が本当にうつ病かどうかということをしっかりと見極めなければならない。抗うつ薬が効かない難治性の病態ということで紹介されてくる患者の診断の一部は,適応障害や持続性抑うつ障害,また閾値下抑うつ状態といったものであり,正確にはうつ病の診断基準を満たさないものが含まれている。日本うつ病学会のうつ病治療ガイドラインでは,第1章の治療計画の策定の部分において治療を開始する前にうつ病と正確に診断する重要性について述べられているので,そちらもあわせて参考にしていただきたい1)。よって本稿では,米国精神医学会によって作成されたDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition(以下,DSM-5)で大うつ病性障害と診断された病態に対し,抗うつ薬が効くかどうかについて考えていきたい。
「KEY WORDS」抗うつ薬/うつ病治療ガイドライン/基礎的介入/プラセボ効果
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。