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特集 うつ病診療のトピックス

うつ病診断に役立つ日が近いバイオマーカー

伊賀淳一

Pharma Medica Vol.35 No.12, 13-17, 2017

精神疾患のバイオマーカーは困難かつ重要な研究課題である。たとえば,うつ病をうつ病と正しく判定する診断率は,プライマリーケア医師の場合では50%程度に留まり,残る50%は見落とされる。またうつ病でないものをうつ病でないと正しく除外する確率は80%程度であり,20%程度は過剰診断されるといわれている1)。専門医の診断精度はこれをはるかに上回るにしても,うつ病の診療にプライマリーケア医師の関与が必要な現状を考えれば,相当数の過少診断と過剰診断がなされていると想定せざるを得ない。診断バイオマーカーの確立と臨床導入が,精神疾患の診療レベルの向上に大きく寄与することに疑いはない。
一方,身体疾患の診断に役立つバイオマーカーは数多く存在する。肝疾患におけるASTやALT,腎疾患における尿素窒素や血清クレアチニン,糖尿病における血糖値やHbA1cがそれにあたる。糖尿病における血糖値の場合,それ自体が病態に直結しており,検査値が高くても,正常でも,低くても臨床的に意味があるバイオマーカーである。血糖値をみることで糖尿病を診断することができる。
「KEY WORDS」うつ病/バイオマーカー/脳画像/血液

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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