特集 ロコモティブシンドローム,サルコペニアとフレイル:それらの概念・現状と将来展望
フレイル フレイルとリハビリテーション
Pharma Medica Vol.35 No.10, 53-57, 2017
高齢者の機能・予備能低下による健康障害が増大した状態をfrailtyと呼び,議論・研究が行われてきた。日本老年医学会はfrailtyの認知度を高め,予防の重要性を広く啓発するため,frailtyを「フレイル」と訳すことを提唱した。フレイルと発音される英語(frail)は形容詞であるが,これをカタカナ表記してfrailtyを表す名詞として使おうということである。このことを2014年2月に決定し,5月8日にプレスリリースすると,この用語は世間の関心をもって徐々に広がり,2015年5月26日第7回経済財政諮問会議における提出資料で,重点的に行うべき事項である「高齢期の疾病予防・介護予防等の推進」のなかに「高齢者の虚弱(フレイル)に対する総合対策」という文言が出現した。その後,2015年10月2日の第89回社会保障審議会医療保険部会においても,フレイルに対する詳細な説明がなされ,フレイル対応の重要性が強調され,行政用語としても定着した。
これらの資料でも記載され重要視されているのは,フレイルには多面性があるということである。低栄養・転倒の増加や口腔機能低下などの身体的フレイルに加えて,意欲・判断力や認知機能低下・うつなどの精神的フレイル,そして閉じこもり・孤食といった社会的フレイルも重要な介入すべきフレイルであり,それぞれのフレイルは密接に関連している。
「KEY WORDS」フレイル,認知フレイル,口腔フレイル
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。