特集 ロコモティブシンドローム,サルコペニアとフレイル:それらの概念・現状と将来展望
ロコモティブシンドローム 地域医療におけるロコモティブシンドロームの役割
Pharma Medica Vol.35 No.10, 27-30, 2017
ロコモティブシンドローム(以下,ロコモ)は,主に中高年期における運動器の脆弱化を示す概念である。そしてロコモへの対策は,健康寿命の延伸,すなわち高齢期の自立を維持することを目的としている。そのため,評価指標としてのロコモーションチェック,ロコモ度テストは簡便で理解しやすく作られており,対策として推奨されているロコモーショントレーニング(以下,ロコトレ)も自己トレーニングとして実践しやすい運動である。一般へのわかりやすさ,実施のしやすさは,普及のために必要不可欠な要素としてロコモにおいて特に重視されている。これがロコモの最大の特徴であり,その役割に直結するポイントである。
本稿は地域医療におけるロコモの役割がテーマである。ただ,地域医療という言葉の正確な定義は明確ではない。言葉通りに解釈すると,地域における疾患対策ということになろう。
ここでは疾患対策を治療と予防を含むものと広く理解し,実臨床におけるロコモ対策と地域におけるロコモ予防とに分けて,両者の役割を具体的な方策を含みながら論じる。
「KEY WORDS」ロコモティブシンドローム,ロコモーショントレーニング,運動器の健康,ロコモコール
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