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特集 ロコモティブシンドローム,サルコペニアとフレイル:それらの概念・現状と将来展望

ロコモティブシンドローム ロコモティブシンドロームの診断と治療法

帖佐悦男

Pharma Medica Vol.35 No.10, 21-26, 2017

超高齢社会を迎えたわが国では,多くの人が関節や脊椎など運動器の障害による症状を訴えており,これらは加齢によりいっそう症状の回復が困難となることから,その予防,早期発見,早期治療が喫緊の課題となっている。今回のテーマ,ロコモティブシンドローム(以下,ロコモ)は運動器の障害であり,変形性関節症,腰部脊柱管狭窄症や骨粗鬆症などが要因としてあげられる。しかし,運動器に対する人々の意識は低く,厚生労働省の調査による有訴者率は,男性は第1位腰痛,第2位肩こり,第5位関節痛,女性は第1位肩こり,第2位腰痛,第3位関節痛であり,多くが運動器に関する愁訴を訴えているものの,通院者率の高い上位5傷病の内訳は,運動器疾患では,男女それぞれ第4位と第2位に腰痛症が含まれているのみと,高い有訴者率のわりに病院を受診していない人が多い。つまり本来であれば治療可能な運動器疾患が悪化し,運動器不安定症となり要支援・要介護や寝たきりとなっている人が,他疾患と比べ多くいると考えられる1)。したがって,ロコモ予防のためにも,運動器に愁訴を有する人は,まずは整形外科を受診し,年齢,疾患の病期や社会背景に応じた治療法を相談することが重要である。本稿では,ロコモの診断(評価)と予防・治療について概説する。
「KEY WORDS」運動器,ロコモティブシンドローム,運動器不安定症,予防,運動療法

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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