プリオン病は伝達性海綿状脳症(transmissible spongiform encephalopathy;TSE)とも呼ばれ,ヒツジ・ヤギのスクレイピー,シカの慢性消耗病(chronic wasting disease;CWD),牛海綿状脳症(bovine spongiform encephalopathy;BSE),ネコ海綿状脳症(feline spongiform encephalopathy; FSE),伝達性ミンク脳症(transmissible mink encephalopathy;TME)など,ヒト以外の多くの動物種でも確認されている(表1,表2)1)。病原体であるプリオンは異常プリオン蛋白質(PrPSc)を主要構成成分とするが,このPrPScは宿主の正常プリオン蛋白質(PrPC)の構造異性体である1)。PrPCは動物種を越えて高い相同性を有することから,プリオン病は異種動物へ伝播する。一方で,PrPCのわずかなアミノ酸の違いが,異種動物への伝達のしにくさ(種の壁)にもつながっている。これまで,野外で関連性が示されたプリオン病は,BSEと変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)2)ならびにFSEなど限られており,多くの動物プリオン病の起源は明らかではない。
「KEY WORDS」プリオン,スクレイピー,牛海綿状脳症,慢性消耗病
「KEY WORDS」プリオン,スクレイピー,牛海綿状脳症,慢性消耗病