特集 膵癌への挑戦
膵IPMN・通常型膵癌の合併
Pharma Medica Vol.35 No.1, 25-29, 2017
1982年に大橋らによって報告された粘液産生膵癌は,粘液産生性の腫瘍性膵管上皮が膵管内に乳頭状に増殖する膵腫瘍であるとの疾患概念が確立され,その後いくつかの名称変更を経て,現在の膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm of the pancreas;膵IPMN)の名称に統一された。
膵IPMNはそれ自体がadenomacarcinoma sequenceとして知られる癌化リスクを有している。このため,IPMN病変の正確な良悪性診断は,膵切除か経過観察かの治療方針を決めるうえで重要である1)-3)。
このIPMN自体の癌化リスクに加えて,IPMN症例では同一膵内にIPMNとは別に通常型膵癌を合併するリスクのあることが近年明らかにされつつある4)-8)。このようなIPMN症例における通常型膵癌の合併リスクは,膵癌に比べて予後良好な腫瘍と考えられていたIPMNの新たな問題として大きな関心を集めている。
本稿では,膵IPMNと通常型膵癌の合併について,最近の知見を交えて概説する。
「KEY WORDS」膵管内乳頭粘液性腫瘍,IPMN,通常型膵癌,膵癌高危険群
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