特集 がんのバイオマーカー:さらなる早期発見と的確な治療薬選択を目指して
がん診断のためのPETプローブ開発の最新の知見と今後の展望
Pharma Medica Vol.34 No.11, 19-22, 2016
2002年のわが国における腫瘍18F-FDG PET検査の保険収載から10年以上が経過し,腫瘍PET診断の重要性は認知されている。一方,FDGの弱点も明らかとなり,post-FDGとしてのPETプローブが多数開発されてきた。従来多くのpost-FDG・PETプローブは,腫瘍細胞の特徴として知られる活発な代謝,増殖能といった一般的な細胞活動をターゲットとして,DNA合成系(FLT,FMAUなど),アミノ酸系(Methionine,FAMT,FACBCなど),細胞膜・脂質代謝系(Choline,Acetateなど)などを中心に開発されたが,幅広い腫瘍で高い診断能を誇るFDGを大きく凌駕するものはなかった。近年,個別のがん種に特徴的な生物学的・病理学的な特性,薬理反応,代謝系,遺伝子といったバイオマーカーに注目したPETプローブの開発が進められ,臨床応用も広がりつつある。本稿では「的確な治療薬選択」に寄与しうる治療効果の予測マーカー,患者層別化マーカーとしてのバイオマーカーを念頭に,いわゆるtheranostics(診断と治療の融合)に関連するPETプローブの最新の知見と将来展望を提示したい。
「KEY WORDS」theranostics,PSMA,Cu-ATSM
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。