特集 統合失調症診療の新たな展開
就労支援:チーム医療・支援が患者の人生を変える
Pharma Medica Vol.34 No.9, 41-44, 2016
「はじめに」「やっぱり働きたいなぁ……」そう話す患者は自信がなさそうにいったん俯くが,やがて視線を上げ,こちらの表情をうかがう。その様子は,自分の言葉が医師にどう響いているか探るようである。長い治療歴をもつ患者は,以前にも同じ願いを当時の担当医に伝え,「無理に働いて調子を崩すより,このままデイケアで安定した生活を続けたほうがいいですよ」と優しく諭されて諦めていた。統合失調症の治療においては,たとえ就労できなくとも,再発や再入院を防ぎ家庭での生活を守ることが重要であり,病状を悪化させる恐れのある社会生活や就労といった対人ストレス溢れる場に,患者をあえて送り出さないことが多かった。しかし,今なら患者の言葉に対してこう答えることができる。「働きたいのですね,ではどうすれば実現するか,一緒に考えましょう」と。
「KEY WORDS」就労支援,チーム医療,リカバリー
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。