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特集 統合失調症診療の新たな展開

統合失調症の診断の動向:DSM-5を踏まえて

橋本直樹久住一郎

Pharma Medica Vol.34 No.9, 9-12, 2016

「はじめに」統合失調症の生涯有病率は0.3~0.7%と高く,2014年の患者調査では,国内に77万1千人の患者がいると推測されている。われわれ精神科医にとって,統合失調症はごくありふれた,遭遇頻度の高い疾患であるが,その診断は簡単ではなく,日常診療のなかでしばしば議論の的となる。統合失調症に限らず,精神科の主要疾患の多くは,診断の際に依拠すべき生物学的基準(バイオマーカー)をもっていない。多くの精神科診断は原因を共有する単一の疾患ではなく,症候学的な特徴を共有する疾患群であり,現在に至るまでその診断は,症候学に基づく類型診断である1)。一方で現在の精神医学は,数万人単位で遺伝子異常を探索することが可能となった。このような時代にあって,統合失調症の診断はどのように変わっていくのであろうか。
「KEY WORDS」診断,統合失調症,DSM-5,分類

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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