<< 一覧に戻る

特集 アルツハイマー型認知症診療のBreakthrough

アルツハイマー型認知症薬の最新の話題

Recent topics in Alzheimer's disease medications.

吉山容正

Pharma Medica Vol.34 No.7, 43-47, 2016

「はじめに」日本においては,2011年にドネペジルに加えて新たにコリンエステラーゼ阻害薬2剤とN-メチル-D-アスパラギン酸(N-methyl-D-aspartic acid;NMDA)受容体拮抗薬1剤の計3剤がアルツハイマー型認知症の新薬として導入された。しかし,欧米ではこれら4剤の登場から10年以上経ち,その間さまざまな新薬開発,特に病態機序に基づいた病態改善薬開発への努力がはらわれ,そのなかのいくつかの薬剤は治験の最終段階としてphase Ⅲ段階にまで達したものの,最終的に有効性を証明できなかった。一方,機能改善薬として開発された4剤はすでに長期にわたり広範囲で使用され,一部の臨床的観察研究において長期使用による進行抑制効果や画像所見での脳萎縮抑制効果が報告され,それぞれの薬剤にアルツハイマー病の進行抑制効果が存在する可能性が示唆されている1)2)。今回この論文では,総論的な新薬開発状況は多くの論文に述べられていることから3),現状で特に注目すべき2種の病態改善薬の開発状況とその結果とを前段で述べ,次に,現状での使用薬におけるアルツハイマー病の病態に対する薬理作用についての新たな話題について述べる。
「KEY WORDS」アミロイド抗体薬,BACE阻害薬,抗炎症,NMDA受容体

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る