特集 アルツハイマー型認知症診療のBreakthrough
アルツハイマー型認知症の遺伝子解析とバイオインフォマティクス
Molecular genetics and bioinformatics of Alzheimer's disease.
Pharma Medica Vol.34 No.7, 19-24, 2016
「はじめに」アルツハイマー型認知症は,先天的因子と後天的因子が複合的に関与して発症に至る多因子疾患である。先天的因子の代表である遺伝因子をゲノムDNAの変化として理解しようとする研究が進められており,アルツハイマー型認知症の原因遺伝子や感受性遺伝子が同定されている。最近では次世代シーケンサーを用いた網羅的な遺伝子解析とバイオインフォマティクスを統合した解析が進んでおり,アルツハイマー型認知症の新しい病態研究が創出されている。本論では,ゲノムDNAの解析技術の進歩とともに発展してきたアルツハイマー型認知症の遺伝子解析と,その臨床応用について展望する。
「Ⅰ.認知症診断と遺伝子解析」アルツハイマー型認知症患者の家族歴を聴取すると,兄弟や両親のいずれかに認知症患者がいることは日常診療のなかで珍しいことではない。この場合,家族内発症に何らかの遺伝的因子が関与している可能性,あるいはアルツハイマー型認知症が頻度の高い疾患であるため,偶発的に家族内で罹患した可能性も考えられる。一方,家族内発症を認めない孤発例においても,感受性遺伝子が発症に関与している。認知症診断における遺伝子解析の役割と留意点について述べる。
「KEY WORDS」次世代シーケンサー,ゲノムワイド関連解析,バイオインフォマティクス,先制医療,個別化医療
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。