「はじめに」糖尿病性腎症について,発症には家族内集積が認められること,およびAfrican,Mexican,American Indianなどで発症頻度が高いなど人種差が認められることから,何らかの遺伝要因が関与するとされている。臨床現場においても,同じ罹病期間,血糖コントロール状況にあっても腎症の発症進展に差が認められることは,多くの糖尿病診療医が経験している。したがって,糖尿病性腎症克服のためには,その遺伝要因の解明がきわめて重要と考えられる。ゲノムワイド関連(相関)解析(genome-wide association study;GWAS)の導入により,多くのcommon diseaseの感受性遺伝子領域同定が達成されており,2型糖尿病では90以上の感受性遺伝子領域が同定されている1)。
「KEY WORDS」糖尿病性腎症,ゲノムワイド関連解析,single nucleotide polymorphism(SNP)