特集 摂食調節機構とその破綻に伴う疾患群
肥満合併妊娠とエピジェネティクス
Maternal obesity during pregnancy and epigenetics.
Pharma Medica Vol.34 No.5, 39-42, 2016
「はじめに」肥満は,慢性の軽度炎症状態を伴う代謝疾患である1)。母体が肥満を合併する肥満合併妊娠の場合,妊娠合併症が増加するのみならず,次世代である児にも影響を与えることが知られており,本稿では,肥満母体の次世代への影響を,エピジェネティクスの視点より概説したい。
「Ⅰ.肥満合併妊娠の妊娠への影響」肥満合併妊娠では,母体合併症として妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群の発症率の増加や遷延分娩や分娩停止,ひいては帝王切開率の増加などと関連することが知られている2)3)。さらに肥満合併妊娠では,血栓症のリスクも高くなることが知られており,代表的なハイリスク妊娠の1つである。わが国における肥満合併の妊娠糖尿病に関する報告においても,肥満度が強くなると,妊娠合併症として重要な妊娠高血圧症候群の増加が認められる4)。
「KEY WORDS」肥満合併妊娠,肥満,エピジェネティクス
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。