「はじめに」近年のB型肝炎診療において注目すべきトピックスは数多くあげられるが,ここでは2点について解説したい。1つ目は2016年にも導入されるHBワクチンの定期接種化(universal vaccination),2つ目は内科のみならずあらゆる分野での重要性が顕著となっているB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus;HBV)再活性化の問題である。
「Ⅰ.わが国でのHBワクチン定期接種化の導入について」
「1.定期接種導入の背景」1)小児の水平感染
これまでHBs抗原陽性の妊婦から出生した新生児に対しては,健康保険が適用され,母子垂直感染予防処置が行われてきた。垂直感染の95%以上は出産時に起きるため,出生直後の感染予防が可能であるからである。ただし,HBe抗原陽性かつHBV-DNA量が107 LC/mL以上の妊婦から出生する児の一部では経胎盤感染が起きる1)。
「KEY WORDS」HBワクチン,ユニバーサル化,再活性化,genotype A