「はじめに」多発性骨髄腫(multiple myeloma;MM)の核型は初期変化と二次的変化に分類され,バイオマーカーとして用いられている。基礎研究では,染色体8q24の解析からPVT1キメラ遺伝子が見いだされ,非翻訳遺伝子のlincRNAのMM分子病態における重要性が認識されている1)。一方,次世代シーケンサー(NGS)による解析からKRAS,NRAS,TP53,CCND1,FAM46C,DIS3,BRAFなどの突然変異の正確な頻度が示された2)。しかし,続々と報告される遺伝子変異は,MMにおける生物学的多様性と複雑なクローン進化の存在も明らかにし,それによって治療におけるパラダイムの転換が迫られている。本稿では,MMのゲノム多様性を概観しながら,バイオマーカーとしての染色体異常の意義を概説する。
「KEY WORDS」IGH転座,高2倍体,次世代シーケンサー,PVT1キメラ,ゲノム異常多様性
「KEY WORDS」IGH転座,高2倍体,次世代シーケンサー,PVT1キメラ,ゲノム異常多様性