特集 多発性骨髄腫の最新情報Ⅰ
骨髄腫の骨病変:分子機序
Myeloma bone disease:its molecular mechanisms.
Pharma Medica Vol.33 No.12, 21-25, 2015
「はじめに」多発性骨髄腫は,単クローン性形質細胞の骨髄内集積と広範な骨破壊性病変の形成を特徴とする。本症の骨破壊性病変は進行性であり,骨痛や骨折のため患者のQOLは大幅に低下し,日常動作が制限される。さらに進行すれば高カルシウム血症や脊椎圧迫骨折による脊髄麻痺などを併発し,生命予後を悪化させる。多発性骨髄腫の前段階と考えられている意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(monoclonal gammopathy of undetermined significance;MGUS)では骨破壊性病変はみられないが,MGUSから多発性骨髄腫に進展すると,骨髄内の血管新生とともに破骨細胞形成も亢進し,骨髄微小環境が大きく変化する。多発性骨髄腫では破骨細胞による骨吸収の亢進と同時に骨髄間質細胞からの骨芽細胞分化が抑制されており,進行性の広範な骨破壊病変が惹起される。
「KEY WORDS」骨リモデリング,破骨細胞分化因子,骨芽細胞,骨細胞
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。