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野巫医のたわごと

(186)飛び入学と落第(2)

前田貞亮

Pharma Medica Vol.33 No.11, 66-67, 2015

前号より続き)
旧制高等学校の教育では,文科でも理科でも,学校教育また寮生活でも同じように,哲学,倫理など文系の考え方が中心になってくる。文系の常識とは批判的精神である。旧い常識を一度は否定し,考察し新しく完成した結果は,前と同じでも,新しく批判的精神の洗礼を受けて出来たものとして受け入れられたのであった。最近は科学技術文明を重視する余り,公害,環境破壊,地球温暖化,大量破壊兵器などの負の遺産を生んでいる。人間の生存,社会の発展,文明の継承のために知性,いや「知」とは何かを探求するのが人文科学の本質であり,今日まで文化人の心の中に受け継がれてきた。その基礎を学ぶ場,環境,雰囲気を保ち続ける文化は,最も重要な精神文化である。それを基礎に,個人の差を認め,人間,社会,文明,それらを正しく判断出来る論理,実践方法をも考えることも大切であり,悪平等,即ち優れた個人の足を引っ張ることのないように教えるべきこと,また勉学に繰り返し学ぶことの大切さと落第制度も認めるべきであろう。まさに学生のための大きな親切心なのである。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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