特集 腸内細菌up to date:今まさに明らかになりつつある全身疾患への影響
腸内細菌とインフルエンザワクチン
Commensal bacteria and influenza vaccine.
Pharma Medica Vol.33 No.10, 33-37, 2015
「はじめに」腸内細菌が腸管免疫系の恒常性の維持に必要であることはよく知られているが,他の粘膜での免疫応答に影響を及ぼしているかはあまり知られていない。最近の研究から,ある種の腸内細菌がインフルエンザウイルス感染に対する粘膜免疫応答だけでなく,インフルエンザワクチンを皮下注射した後の全身の免疫応答にも必要であることが明らかとなってきた。本稿では,腸内細菌によるインフルエンザウイルス特異的免疫応答の制御機構について概説する。
「Ⅰ.インフルエンザウイルス」季節性インフルエンザは毎年冬季に広く流行する公衆衛生上重要な感染症であり,38℃以上の高熱,関節痛,悪寒などの症状が引き起こされる。多くの患者は1週間ほどで回復するが,5歳以下の小児や65歳以上の高齢者が発症すると脳症や肺炎を引き起こすリスクが高くなり,毎年のワクチン接種による発症予防が重要である。
「KEY WORDS」インフルエンザ,経鼻ワクチン,腸内細菌,樹状細胞
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