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特集 腸内細菌up to date:今まさに明らかになりつつある全身疾患への影響

腸内細菌と循環器疾患

Gut microbiota and cardiovascular diseases.

笠原和之山下智也平田健一

Pharma Medica Vol.33 No.10, 23-26, 2015

「はじめに」近年,培養法に依存しない次世代シークエンス法の発展に伴い,腸管に常在し宿主との共生関係を構築している腸内細菌叢の研究が飛躍的に発展している。腸内細菌は腸管をすみかとして難消化性物質の消化を行い,さまざまな代謝産物を産生し宿主に影響を与えており,腸内細菌叢は1つの臓器であるがごとく機能している。種々の疾患と腸内細菌との関連が明らかになりつつあり,炎症性腸疾患や大腸癌などの腸疾患にとどまらず,肥満や糖尿病,脂肪肝といった生活習慣病との因果関係も指摘されている。ここ数年では,狭心症や心筋梗塞,脳梗塞の発症の基盤となる動脈硬化症における腸内細菌叢の役割が明らかとなった。さらに循環器領域においては,高血圧や心不全と腸内細菌叢との関連にも注目が集まっている。本稿では,腸内細菌に焦点を当てた循環器領域の研究を中心に述べ,血管・心臓-腸内細菌の臓器連関からみえてくる新たな循環器疾患治療戦略について展望する。
「KEY WORDS」腸内細菌,動脈硬化,高血圧,心不全

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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