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特集 乾癬の病態と治療:最新の進歩
乾癬とメタボリックシンドローム
Relationship between psoriasis and metabolic syndrome.
多田弥生
Pharma Medica Vol.33 No.9, 27-30, 2015
「はじめに」乾癬患者に肥満が多いことは以前から指摘されていたが,最近5年間で,乾癬の病態と肥満との関連性が明らかになってきた。乾癬の皮疹あるいは関節の炎症といった目にみえる炎症が,脂肪細胞を主体とする目にみえない炎症と病態としてつながっており,結果として血管内皮細胞障害,動脈硬化を促進し,心筋梗塞のリスク増大をもたらすというものである。「乾癬マーチ」としても知られるようになった概念で,本稿で概説したい。
「Ⅰ.乾癬で多い肥満」乾癬患者では確かに肥満が多く,肥満が乾癬あるいは関節症性乾癬の発症リスクを増すことがわかってきた1)。米国の女性乾癬患者において体重増加と乾癬の相対危険度を検討した報告では,18歳以降での15.9kg以上の体重増加は有意に乾癬発症のリスクを増し,また,4.5kgごとの体重増加に伴い相対危険度が上がることもわかった2)。
「KEY WORDS」乾癬,メタボリックシンドローム,心血管イベント,アディポカイン
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。