特集 原発性脂質異常症:疾患概念の整理と最近の進歩
原発性低脂血症 家族性低βリポ蛋白血症(アポB異常症)
Familial hypobetalipoproteinemia (Apolipoprotein β mutations).
Pharma Medica Vol.33 No.8, 53-55, 2015
「はじめに」家族性低βリポ蛋白血症(familial hypobetalipoproteinemia;FHBL)は,家族性に低LDL-C血症を認める常染色体優性の疾患であり,その原因遺伝子として,アポBとPCSK9が知られている。アポB変異の大部分は短縮アポBを生成し,超低比重リポ蛋白(very low density lipoprotein;VLDL)の分泌障害と異化促進の結果,血中のアポB濃度が低下する。ホモ接合体は,重度の低コレステロール血症,脂肪便を伴う脂肪および脂溶性ビタミンの吸収障害により,脊髄小脳変成を呈しうる。有棘赤血球や脂肪肝も認める。ヘテロ接合体は無症状の場合が多いが,脂肪肝や胆石症の合併が増加する。短縮アポBをリポ蛋白のポリアクリルアミドゲル電気泳動で検出し,遺伝子診断に進む場合が多い。重症例では脂肪の摂取を制限し,ビタミンEやAを補充する。
「KEY WORDS」コレステロール,アポ蛋白,リポ蛋白,脂肪肝,胆石
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。