「はじめに」遺伝子治療は,遺伝病や癌などの難治性疾患に対する新しい治療法として大きな期待を集めて1990年に米国で開始された。当初は有効性を示すことができなかったが,2000年になり先天性免疫不全症に対する造血幹細胞遺伝子治療で劇的な治療効果が報告された。ところが数年後に患者が白血病を発症したことが明らかになり,遺伝子治療に対する評価は一気に低下した。しかし,この逆風を乗り越え,遺伝子治療研究は着実に進歩を遂げてきた。最近ではさまざまな疾患に対する遺伝子治療で有効性が報告されている。製薬企業も次々に遺伝子治療の開発に参入している。また,アカデミアからも遺伝子治療臨床研究の規制緩和の要望が出されている。遺伝子治療に対する期待は復活し,今や新しい時代に入ったといわれている。
「Ⅰ.遺伝子治療のこれまでの流れ」遺伝子治療は1990年に先天性免疫不全症[アデノシンデアミナーゼ(adenosine deaminase;ADA)欠損症]に対して米国国立衛生研究所(National Institutes of Health;NIH)で開始された。
「KEY WORDS」遺伝子治療
「Ⅰ.遺伝子治療のこれまでの流れ」遺伝子治療は1990年に先天性免疫不全症[アデノシンデアミナーゼ(adenosine deaminase;ADA)欠損症]に対して米国国立衛生研究所(National Institutes of Health;NIH)で開始された。
「KEY WORDS」遺伝子治療