特集 骨粗鬆症:超高齢社会における現状と課題
骨粗鬆症の治療ゴール
Therapeutic goals of osteoporosis.
Pharma Medica Vol.33 No.2, 45-49, 2015
「はじめに」初発骨折の予防と二次骨折の予防を目的とする骨粗鬆症の治療において,治療ゴールとは何であろうか。ここではまず,近年議論されている骨粗鬆症の治療ゴールの考え方を概観する。次にこの議論をわが国の現状に照らし合わせるために,現在の骨粗鬆症の診断基準と薬物治療開始基準について触れたのちに,治療ゴールという考え方に対する現在とるべき態度と課題について考えてみる。
「Ⅰ.骨粗鬆症における治療ゴールの考え方」骨粗鬆症の診断や薬物治療の開始基準については整備されてきたものの,薬物治療の継続や変更,中止については知見に乏しい状態である。この点については,国際的にも論議の対象となっている。高血圧や脂質異常症の診療では,診断基準レベルを下回る血圧や脂質の検査値が得られ,それを維持することによって治療の目的が達成されたと考えられる。これらの疾患の薬物治療の目標は心血管イベントなどの臓器合併症の予防であるが,これらの合併症自体の存在は高血圧や脂質異常症の「診断」には用いられない。
「KEY WORDS」骨粗鬆症,薬物治療,治療ゴール,骨折リスク
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。