特集 骨粗鬆症:超高齢社会における現状と課題
骨粗鬆症の疫学
Epidemiology of osteoporosis.
Pharma Medica Vol.33 No.2, 9-12, 2015
「はじめに」急速に進む高齢化社会において,運動器疾患,特に骨粗鬆症およびそれに伴う骨折は重大な問題である。実際,2013年度国民生活基礎調査において,転倒および骨折は,要介護の原因の4位を占めている。また,骨粗鬆症および骨折は,高齢者の日常生活動作(activities of daily living;ADL),生活の質(quality of life;QOL)を低下させるだけでなく,生命予後にも影響している1)。しかし,日本においては,このような運動器疾患を縦断的,包括的に調査したコホート研究はほとんどなく,その危険因子の解明はおろか,有病率や発生率に至っても,確定的ではなかった。そこで,われわれはこのような運動器疾患をターゲットにしたコホート研究The Research on Osteoarthritis/osteoporosis Against Disability(ROAD)スタディを,2005年に立ち上げた2)(図1)。本稿では,The ROADスタディで得られた知見のうち,骨粗鬆症に関するものを中心にレビューを交えて概説する。
「KEY WORDS」骨粗鬆症,有病率,生活の質(QOL),コホート
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