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特集 肝癌の薬物療法

再発抑制のための補助治療 癌ワクチン療法

Cancer vaccine.

金本彰高山忠利

Pharma Medica Vol.33 No.1, 67-72, 2015

「はじめに」近年,分子免疫学のめざましい発展により,T細胞による抗原認識の全貌が明らかにされ,ペプチドワクチン,樹状細胞ワクチン,改変型蛋白質ワクチンなど,さまざまな癌ワクチン療法が開発されてきた。米国では,2013年6月までに981の癌ワクチンの臨床試験が登録され実施されているが1),癌ワクチンは術後補助療法としての役割が期待されているのを反映するかのように,登録された臨床試験の67%が術後補助療法として,さまざまな癌種において実施されている。ここでは,肝細胞癌(以下,肝癌)を中心に癌ワクチン療法の現況について概説する。
「Ⅰ.肝癌に対する癌ワクチン療法」肝癌に対しては,α-fetoprotein(AFP),自家腫瘍ワクチンを中心として,癌ワクチン療法の臨床試験が報告されている(表1)2)-9)。現時点では,すべて早期臨床試験のみである。そのなかから近年,わが国で開発同定された新規癌抗原Glypican-3(GPC3)について詳述する。
「KEY WORDS」●肝細胞癌 ●癌ワクチン ●Glypican-3(GPC3) ●癌免疫療法

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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