特集 肝癌の薬物療法
発癌予防のための治療戦略 BCAA製剤:サルコペニアに対するBCAA効果
Impact of BCAA for sarcopenia.
Pharma Medica Vol.33 No.1, 53-58, 2015
「はじめに」肝硬変患者は,蛋白質・エネルギー低栄養状態(protein-energy malnutrition;PEM)を呈しやすいことが知られている1)。加えて,進展した肝疾患は異化を亢進させ,筋肉の消耗を引き起こすとされる。2010年に発表されたEuropean Working Group on Sarcopenia in Older People(EWGSOP)によるサルコペニアに関するコンセンサスでは,加齢によるサルコペニアを一次性サルコペニア,加齢以外の原因によるものを二次性サルコペニアとしており2),炎症性疾患である慢性肝疾患は,二次性サルコペニアのリスクの1つと考えられる。近年,欧米からサルコペニアをもつ肝硬変患者の予後の悪化3),肝細胞癌(hepatocelullar carcinoma;HCC)患者の生存率の低下4)が報告され,現在,肝臓病領域におけるサルコペニアの研究は,臨床上注目度が高いトピックの1つである。肝癌肝切除患者や肝移植患者の生存率と骨格筋の量5)6)との関連や,肝硬変患者においてサルコペニアが死亡率と独立した関連を示したこと7)が報告されており,サルコペニアへの具体的な対策の考案が待たれている。
「KEY WORDS」●肝発癌 ●サルコペニア ●分枝鎖アミノ酸(BCAA)
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。