特集 肝癌の薬物療法
分子標的治療薬 他の疾患で用いられている分子標的治療薬
Molecular targeted agents which are used for any other cancer of hepatocellular carcinoma.
Pharma Medica Vol.33 No.1, 29-35, 2015
「はじめに」癌は,癌遺伝子の活性化や癌抑制遺伝子の異常により発癌するだけでなく,発癌の過程において,癌成長因子やその受容体,細胞分裂を刺激する蛋白が必要であることが解明されている。その癌成長因子や受容体,蛋白を抑制することを目的とした分子標的治療が近年注目されている1)2)。この分子標的治療薬の1つであるソラフェニブは,Rafと血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor;VEGF),血小板由来成長因子(platelet-derived growth factor;PDGF)などに対するマルチキナーゼ阻害薬である。進行肝細胞癌に対してプラセボと比較した2つの第Ⅲ相試験で,無増悪期間と生存期間の有意な延長が示され3)4),標準治療として位置付けられている。この成功例に続けと,肝細胞癌では分子標的治療薬の開発が盛んに行われている。また,他の疾患でも分子標的治療薬の開発は進んでおり,表1にあげたような薬剤が日本ですでに保険適応が承認されている。本稿では,他の疾患で用いられている分子標的治療薬で,肝細胞癌への開発も行われている薬剤を中心に概説する(表2)。
「KEY WORDS」●分子標的治療薬 ●第Ⅲ相試験 ●ソラフェニブ ●他疾患
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