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特集 肝癌の薬物療法

特集にあたって

Introduction.

幕内雅敏

Pharma Medica Vol.33 No.1, 7-8, 2015

肝癌は,世界で2番目に死亡者の多い癌とされており,2012年には全世界で70万人以上が命を落としている。わが国において肝細胞癌の罹患率は,2002年の10万人に対して27.5人をピークとして,2010年は10万人に対して約25人へと若干の減少をみせているが,現在でもなお,毎年3万人以上の日本人の死因となっている。肝細胞癌の多くは,慢性肝炎や肝硬変など背景肝と深い関連があり,特に,肝炎ウイルスは肝細胞癌の最大の危険因子とされている。1964年にBlumbergらによってB型肝炎ウイルス(オーストリア抗原)が,1989年にはHoughtonらによってC型肝炎ウイルスが発見され,その後インターフェロンなどによる治療が始められた。またB型肝炎ワクチンが広く行われるようになり,わが国の母子感染率は,1985年に約0.2%であったものが,1995年には,0.02%にまで減少している。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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