特集 肺癌:最新の分子標的療法
EGFR変異と特異的阻害薬
EGFR mutations and specific inhibitors.
Pharma Medica Vol.32 No.11, 15-19, 2014
「はじめに」肺癌の罹患数は約11万人/年と増加傾向にあり,死亡数は年間約7万人で部位別の癌死亡数第1位である。発見時にすでに進行期である場合が約半数を占め,また,比較的早期に発見されて手術を受けても再発することがあるため,肺癌の予後改善には化学療法の進歩が必須である。2002年,世界に先駆けて日本で上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(epidermal growth factor receptor-tyrosine kinase inhibitor; EGFR-TKI)であるゲフィチニブが承認された。複数の臨床試験においてゲフィチニブは,EGFR遺伝子変異陽性肺癌に対して従来の化学療法よりも無増悪生存期間(progression-free survival; PFS)を有意に延長し,肺癌の分子標的治療の確立をもたらした。その後,2014年1月にいわゆる第2世代EGFR-TKIであるアファチニブが承認され,同年の第50回米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology; ASCO)で全生存期間(overall survival; OS)に関する興味深い結果が発表された。また,さらに新たな第3世代EGFR-TKIの臨床試験が進行中である。本稿では,EGFR遺伝子変異と各種EGFR-TKIについての最新の知見をまとめる。
「KEY WORDS」肺癌,分子標的治療,上皮成長因子受容体(EGFR),ゲフィチニブ,エルロチニブ,アファチニブ
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