特集 加齢黄斑変性:疫学から治療まで
加齢黄斑変性と遺伝子多型
Genetic polymorphism in age-related macular degeneration.
Pharma Medica Vol.32 No.10, 15-19, 2014
「Ⅰ.多因子疾患における遺伝要因」遺伝子多型(polymorphism)という言葉も今では日頃から耳にするようになった感がある。遺伝子多型とはある母集団において1%以上の頻度で存在する遺伝子構造(塩基配列)の違いと定義され,単一塩基多型(single nucleotide polymorphism; SNP),挿入/欠失多型,コピー数多型などを含む概念である。わかりやすく表現すれば,遺伝子多型とは「遺伝子の個人差」である。身長,顔貌,髪の質などはもちろん,同じ「ヒト」であっても人種が存在するのも,すべて遺伝子の個人差によるものである。現在,生活習慣病などの多因子疾患にこの遺伝子の個人差が関与していることが注目されており,非常に多くの研究報告がなされている。多因子疾患の表現型(病気の状態)は複数の遺伝子多型の組み合わせと環境因子の作用の結果だと考え,最近は成人型糖尿病,癌,脳卒中や虚血性心疾患などの病態を説明することに用いられている。
「KEY WORDS」加齢黄斑変性(AMD),遺伝子多型,感受性遺伝子,補体H因子
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。