特集 加齢黄斑変性:疫学から治療まで
疫学と危険因子
Epidemiology and risk factors for AMD.
Pharma Medica Vol.32 No.10, 11-13, 2014
「はじめに」加齢黄斑変性(age-related macular degeneration; AMD)は欧米をはじめとした先進国において成人の失明や視力低下の主原因となっており,近年ますます増加傾向が認めらている。米国における視覚障害の検討では,40歳以上の白人において視力0.01未満の視力障害の原因疾患の第1位がAMDで54.4%と最も多く,ついで白内障,緑内障,糖尿病網膜症となり,AMDによる視力障害は白内障,緑内障,糖尿病網膜症を合計したものよりも多いと報告されている。わが国においても,2006年の岐阜県多治見市における多治見スタディの報告で,AMDは視力0.05~0.3のlow visionの原因疾患の第4位と報告されている。今後も高齢人口が急速に増加するのに伴い,AMDがますます増加することが予想される。AMD発症の予防策を講じるには,まず地域住民中のAMDの実態を把握する必要がある。わが国において一般地域住民を対象としてAMDを調査した疫学研究の1つに久山町スタディがある。この疫学調査の結果から明らかになったわが国のAMDの疫学について概説し,危険因子についても述べる。
「KEY WORDS」有病率,発症率,久山町スタディ
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