特集 加齢黄斑変性:疫学から治療まで
特集にあたって:加齢黄斑変性の分類と概要
Introduction: classification of age-related macular degeneration.
Pharma Medica Vol.32 No.10, 7-9, 2014
加齢黄斑変性(age-related macular degeneration; AMD)は厚生労働省網膜脈絡膜・視神経萎縮症調査研究班の診断の手引きによると,50歳以上の年齢において中心窩を中心に半径3,000μmの範囲(黄斑という)に起こる加齢に基づく異常と定義されている(図1)1)。加齢に伴う異常は眼球のいずれの部位にも起こるが,眼底では黄斑に強く起こる。本態は脈絡膜内層すなわち脈絡毛細血管板,ブルフ膜,網膜色素上皮,網膜外層すなわち視細胞の加齢変化である(図2)が,発症には加齢のほか,遺伝的要因と環境要因が関与する。黄斑は視機能の中心的役割を担っているため,AMDになると「変視」,「中心暗点」,「視力低下」が生じ,「読めない」,「書けない」,「みたいものがみえない」状態になる。その結果,生活の質(quality of life; QOL)が著しく低下し,良い方の眼の視力が0.1以下のAMD症例では,自立歩行可能な中等度脳卒中患者や通院透析を行っている症例よりもQOLが低いと報告されている2)。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。