野巫医のたわごと
(155)野球
掲載誌
Pharma Medica
Vol.31 No.4 106-107,
2013
著者名
前田貞亮
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
Pharma Medica
川崎市中原区医師会の集まりの際, 耳鼻咽喉科の岡崎先生から, 「面白かった本を届けます」と言われた. 2, 3日後に届けられたそれはドナルド・キーン著, 角地幸男訳「正岡子規」(新潮社2012年版)であった. 正岡子規は筆者も大好きな, 且つ尊敬している作家である. 本欄にも「病牀六尺」という短文を記したこともある. ドナルド・キーン氏は日本文学に大変造詣が深く, 著作として「渡辺崋山」, 「百代の過客(正・続)」, 「日本の文学」, 「思い出の作家たち」, 「日本人の戦争」などよく勉強され書かれている. 森鴎外, 夏目漱石から川端康成, 三島由紀夫まで多数の作家の日記, 手紙に至るまで調べて作家論を展開している. 最近でも東京新聞に下町日記とも言うべき記事を載せている程, 日本に帰化した米国人として素晴らしい人である. それはさておき, WBC(World Baseball Classic)で賑わった昨今, 「正岡子規」というと「野球」の名付け親のように言われているが, 米国発祥のベースボールを1894年に「野球」と訳名したのは子規より3年後輩の鹿児島出身の中馬庚(ちゅうまん・かなえ)である.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。