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特集 整形外科領域と再生医療

骨格筋・腱・靱帯再生 腱・靱帯形成の制御メカニズム

宿南知佐

Pharma Medica Vol.31 No.4, 43-46, 2013

「はじめに」骨格間を連結する靱帯は関節を安定化させ, 骨格筋と骨を連結する腱は筋の収縮力を骨に伝達し, 運動器の各コンポーネントが一体となって機能するために欠かせない役割を果たしている. 腱・靱帯は, 組織学的には強靱結合組織に分類され, 縦に規則正しく一列に並ぶ腱細胞が分泌した太いI型コラーゲンの線維が平行に走向し, 張力に対する抵抗性を保持している. 間葉組織のなかでは例外的に無血管である軟骨と同様に, 腱・靱帯も血管網が非常に乏しいので, 損傷すると瘢痕修復に移行し機能的, 生体力学的に十分に再生させることは困難で, 運動器コンポーネントのなかでも腱・靱帯は組織再生の重要な標的の1つとなっている. 近年になって, 腱・靱帯組織を特徴づける分子マーカーが明らかになったことから, 腱・靱帯形成と再生の分子機序を解明する分子生物学的なアプローチが可能になってきた. 本稿では, 腱・靱帯形成を制御する分子に関する最近の知見を概説する.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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