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特集 整形外科領域と再生医療

骨・軟骨再生 iPS細胞由来軟骨細胞を用いた再生治療開発

山下晃弘妻木範行

Pharma Medica Vol.31 No.4, 29-32, 2013

「はじめに」2007年のヒト人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell;iPS細胞)の樹立が報告されて以降, ヒトES細胞およびiPS細胞を用いた研究の成果が著しい1)2). 近年, ES細胞から軟骨細胞への分化誘導の報告が相次いだ. これまで骨, 軟骨, 脂肪への分化能を有する間葉系幹細胞が軟骨再生における有用なソースの1つとしてあげられてきた. この間葉系幹細胞は患者から細胞を採取できるため免疫拒絶反応の可能性がなく, 再生医療には有用である. しかし間葉系幹細胞は増殖能が有限であり, その分化特性は細胞の培養環境や継代数に依存する. そのため移植治療において大量に細胞が必要な症例などには不利であった. そこで他の幹細胞として, 未分化状態で無限に増殖する能力(無限増殖能)かつ生体のあらゆる組織へ分化する能力(多分化能)を有するヒトES細胞が注目されてきた3).

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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