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結核と非結核性抗酸菌症

日本における非結核性抗酸菌症の動向

A trend of Japanese pulmonary nontuberculous mycobacteriosis.

倉島篤行

Pharma Medica Vol.30 No.6, 43-48, 2012

Ⅰ.わが国の肺非結核性抗酸菌症の疫学的傾向
 肺MAC(Mycobacterium avium complex)症は今日呼吸器科診療の場面での急増が注目されている。しかし結核症と異なり伝染性疾患ではないため,わが国でも国際的にも正確な疫学データはなく,さまざまな方法による推計に頼っている。

KEY WORDS
●肺非結核性抗酸菌症 ●中葉舌区型 ●肺結核類似型 ●稀少菌種

Ⅰ.わが国の肺非結核性抗酸菌症の疫学的傾向(続き)

 わが国では1970年から1997年まで,国立療養所非定型抗酸菌症共同研究班が毎年全国にまたがる国立療養所の結核症新規入院例数と非結核性抗酸菌症新規入院例数を収集し,別個の全数調査による結核症統計による結核症罹患率を基に非結核性抗酸菌症推定罹患率を算出報告してきた1)。また1995年以降結核の活動性分類で「非定型抗酸菌陽性」という項目が新設され,2003年までは「結核の統計」にその集計が記載されていた。また2001年と2007年の2回,非結核性抗酸菌症研究協議会が全国200床以上の呼吸器診療病院に対する非結核性抗酸菌症に関するアンケート調査による集計を行っている2)。これらは調査主体や調査方法も異なるものではあるが,前記3つをつなぎ合わせると図1に示したようにおよその傾向を明らかにできる。

すなわち,わが国の非結核性抗酸菌症推定罹患率は1975年の約1から2007年の約5.7まで増加している。
 以上はあくまで推定値であるが,森本らは厚生労働省統計情報部による人口動態統計中の死亡統計項目から非結核性抗酸菌症死亡数の年次推移を求め,さらに総務省国勢調査成績を用いて粗死亡率を算出している3)。これらによれば,非結核性抗酸菌症による死亡は1970年にはじめて死亡統計上3人が記録されたが,2007年には912人と明らかに増加傾向を示し(図2) 3),

1993年以降は女性が男性を上回り,粗死亡率でみても2005年には男性が人口10万対0.558に対して女性が0.745だったとしている(図3) 3)。

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