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結核と非結核性抗酸菌症

多剤耐性結核はどこまで治せるか

Treatment of multi-drug resistant tuberculosis.

奥村昌夫工藤翔二

Pharma Medica Vol.30 No.6, 27-31, 2012

はじめに
 結核罹患率は年々低下しているが,現在でも25,000人以上の新規患者が発生しており,世界の国々と比較すると,日本は依然として結核中進国である。人口の高齢化に伴う高齢者結核の増加とともに,糖尿病をはじめとした免疫抑制宿主,住所不定者や簡易宿泊居住者などの健康管理の機会に恵まれない者など,ハイリスク集団に集中する傾向があり,大都市に集中するなど地域格差が大きい。患者発見の遅れ,院内感染や集団感染の増加など多くの問題がある。いまだ年間に2,000人を超える死者を出しており,現在でも無視できない疾患である。大半の結核は化学療法で治癒させることができるが,実際には治療中断,不規則な服薬,薬剤の副作用,などにて治療失敗例が後を絶たず,薬剤耐性化の問題なども生じている。また,結核患者が発生した場合,他への感染対策が重要となる。

KEY WORDS
●多剤耐性結核(MDR-TB) ●超多剤耐性結核(XDR-TB) ●治療成績 ●外科的切除

Ⅰ.結核の治療

 結核治療の原則は化学療法が中心であり,大半の結核は化学療法で治癒させることができる1)。すなわち,①感受性薬剤を2剤(治療開始時は3剤)以上使用する,②治療中は患者が確実に薬剤を服用することを確認する,③副作用を早期に発見し,適切な処置を行う,ことが必要となる。結核の治療歴がない患者に対しては,(A) (図A) 2)の標準治療,すなわち初期2ヵ月間イソニアジド(INH),リファンピシン(RFP),ピラジナミド(PZA)にエタンブトール(EB)またはストレプトマイシン(SM)を加えた4剤,以後の4ヵ月INHとRFPを併用する標準治療(A)(図A) 2)が原則である。

PZAが使用できない場合には例外的に(B) (図B) 2)の治療をすることができる。結核の治療歴がない場合,これらの薬剤に感受性で,かつ確実に服用できれば,多くの症例において治癒が可能となった。しかし実際には治療中断,不規則な服薬,薬剤の副作用,などにて治療失敗例が後を絶たず,薬剤耐性化の原因となる。

Ⅱ.多剤耐性結核とは

 多剤耐性結核症(Multi-drug resistant tuberculosis;MDR-TB)は,抗結核薬のなかでもINH,RFPの2剤に耐性の結核と定義される。さらにその後,世界保健機関(WHO)が3),第二次抗結核薬の注射薬(カプレオマイシン:CPM,アミカシン:AMK,カナマイシン:KM)の1剤以上,かつ何らかのニューキノロン薬(レボフロキサシン:LVFXなど)1剤以上にも耐性を示す耐性結核を超多剤耐性結核症(Extensively-drug resistant tuberculosis;XDR-TB)と定義した。

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