はじめに  結核罹患率は年々低下しているが,現在でも25,000人以上の新規患者が発生しており,世界の国々と比較すると,日本は依然として結核中進国である。人口の高齢化に伴う高齢者結核の増加とともに,糖尿病をはじめとした免疫抑制宿主,住所不定者や簡易宿泊居住者などの健康管理の機会に恵まれない者など,ハイリスク集団に集中する傾向があり,大都市に集中するなど地域格差が大きい。患者発見の遅れ,院内感染や集団感染の増加など多くの問題がある。いまだ年間に2,000人を超える死者を出しており,現在でも無視できない疾患である。大半の結核は化学療法で治癒させることができるが,実際には治療中断,不規則な服薬,薬剤の副作用,などにて治療失敗例が後を絶たず,薬剤耐性化の問題なども生じている。また,結核患者が発生した場合,他への感染対策が重要となる。 KEY WORDS ●多剤耐性結核(MDR-TB) ●超多剤耐性結核(XDR-TB) ●治療成績 ●外科的切除