はじめに  生活様式の欧米化や高齢化に伴い増加傾向にある心血管イベントは,動脈硬化巣に形成される血栓によって発症する。一般的に,動脈の血栓形成では,その血流の速さからフィブリンが生成されがたく,血流に抗して血管の損傷部位に粘着する血小板が主体の血栓が形成されると理解されている1)。実際に,急性心筋梗塞症例の冠動脈血栓を組織学的に評価すると,多量の血小板が存在し,血栓形成において血小板が大きな役割を担っていることに異論はない。しかし,閉塞性血栓では,血小板とともに多量のフィブリン,白血球や赤血球も数多く混在している2)。  本稿では,動脈硬化巣(プラーク)と血栓の形態学的特徴および血栓の成長について,特に血小板を中心に概説する。 KEY WORDS ●血小板 ●動脈硬化 ●アテローム血栓症 ●病理