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血小板をめぐる最近の話題

(基礎編)血栓形成の分子機構;血小板機能異常症の解析からみた最近の進歩

Recent progress in our understanding of the molecular mechanism of thrombus formation and platelet function disorders.

柏木浩和冨山佳昭

Pharma Medica Vol.30 No.5, 9-14, 2012

はじめに
 動脈硬化を基盤とした心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症は,日本および世界における死因の約3割を占めている。これらの疾患は血小板を主体とした動脈血栓がその原因であり,血小板が病態形成の中心的な役割を果たしていることから,血小板機能の分子メカニズムを明らかにすることが,血栓症の予防および効果的な治療薬剤の開発のためにきわめて重要である。

KEY WORDS
●血小板機能異常症 ●血栓形成 ●分子機構 ●抗血小板療法

はじめに(続き)

動脈血栓形成における血栓形成過程は大きく,①血小板粘着→②血小板活性化と放出反応→③血小板凝集の段階により構成されている(図1)1)。

本稿では,それぞれの過程における分子機構および機能異常症について,筆者らの経験した症例を含めて最近の知見を紹介する。

Ⅰ.血小板粘着の異常

 血小板が血管損傷部位に露出されたコラーゲン線維や動脈硬化巣などに接触すると,血小板は接着し活性化される(Adhesion)。この過程においては,von Willebrand因子(von Willebrand factor;VWF)と血小板GPⅠb/Ⅸ/Ⅴ複合体の結合が重要であり,特に細動脈などの高ずり速度下における血小板接着には必須である。しかしGPⅠb/Ⅸ/Ⅴ複合体とVWFの結合は比較的弱いものであり,血小板は血管壁上に短時間つなぎとめられた状態(tethering)あるいは転がるような動態(rolling)を示す。この間に血小板のコラーゲン受容体であるGPⅥ/FcRγ複合体およびインテグリンα2β1(GPⅠa/Ⅱa)との結合が進行することにより,血管壁に強固に粘着することができる。

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