Ⅰ.発達障害の臨床症状の重層性  発達障害という用語に明確な定義はない。しかし,発達障害を構成する個々の障害の診断基準をみると,①人生早期から症状が認められること,②認知面(知的障害,学習障害),行動面[注意欠如・多動性障害(attention deficit/hyperactivity disorder;ADHD)],あるいはその両方[広汎性発達障害(pervasive developmental disorder;PDD)]に偏りがあること,③そのために日常生活に支障をきたすこと,④他の器質的疾患や精神疾患によって説明されないこと,がコンセンサスとなっていると思われる。 KEY WORDS ●発達障害 ●併存障害 ●薬物療法 ●心理教育