はじめに  脳卒中後リハビリテーション(以下,リハビリ)の目的は,廃用症候群の予防,神経機能の回復,日常生活動作機能の回復・維持による全人的復権であり,社会参加,社会貢献を目指した人間回復である。2000年の回復期リハビリ医療制度発足までは,急性期治療という盲目的安静臥床による廃用症候群が頻発し,寝たきりによる褥瘡,深部静脈血栓症が当たり前の暗黒の時代を経験した1)-4)。発症後3ヵ月の脳卒中後遺症の大部分は一生涯残存し2),後遺症治療の遅れは機能回復や社会復帰の遅延や困難に直結する2)3)。後遺症軽症例では社会復帰,復職が可能となるが,中等症以上の後遺症をきたすと社会復帰や復職は容易でない。  本稿では,急性期・回復期リハビリの現状,機能予後予測,機能回復のアプローチ,今後の展望について概説する。