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虚血性脳卒中診療の現在;急性期診療からリハビリテーションまで

頚動脈狭窄症の外科治療

兼松康久西京子里見淳一郎永廣信治

Pharma Medica Vol.30 No.2, 51-54, 2012

はじめに
 本稿では頚動脈狭窄症の病態・診断・治療についての概要を説明し,その外科治療である頚動脈内膜剥離術(carotid endarterectomy;CEA)と頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)の適応について最近の知見をふまえて解説する。

KEY WORDS
●頚動脈狭窄症 ●頚動脈内膜剥離術 ●頚動脈ステント留置術

Ⅰ.頚動脈狭窄症の病態

 加齢とともに進行する動脈硬化症は脳血栓症の主な原因である。動脈硬化により血管壁に生じたアテローム斑および潰瘍は血管内腔を狭小化する。同時に潰瘍部に生じる局所的な血流の変化は,血小板や凝固系の活性を促し血栓形成を引き起こす。頚動脈狭窄症は,頚部の総頚動脈分岐部,特に内頚動脈起始部を中心に動脈硬化が生じ,内頚動脈狭窄を誘発する。結果,脳灌流の低下と潰瘍部に生じた血栓の遊離による脳動脈の塞栓(artery-to-artery embolism)が脳虚血発作や脳梗塞を引き起こすと考えられている。その症状は,片麻痺,感覚障害,優位半球であれば失語症状など,脳梗塞の部位によりさまざまで,ときに血栓が眼動脈に飛んで閉塞をきたし,網膜中心動脈領域の虚血により患側の視力が一過性に消失する一過性黒内障(amaurosis fugax)で発症することもある。頚動脈狭窄症は従来欧米諸国で多く認める疾患であったが,食生活の欧米化と高齢化により,わが国でも年々増加傾向にある。

Ⅱ.頚動脈狭窄症の診断

 頚動脈狭窄症の診断には,①頚部の聴診:頚部で血流乱流によって起こる血管雑音を聴取する。②頚動脈超音波エコー:側頚部上部に超音波プローブをあて,総頚動脈と内・外頚動脈の動脈壁の厚さや,狭窄率,エコー輝度によってプラークの性状を判定する。③頚部MRA( Magnetic Resonance Angiography):MRIにて大脳皮質枝領域や血液供給の分水嶺に梗塞巣を認めた際は頚動脈狭窄症の可能性を疑い,頚部MRAで狭窄や閉塞を診断する。④3D-CTA(3D-computed tomography angiography):造影剤を使用しCTを撮影,頭頚部の血管内腔を三次元に描き出す。⑤血管撮影:低侵襲的な頚動脈超音波エコーやMRAなどでも診断可能であるが,狭窄率や他の脳血管情報,側副血行路の発達状態を把握するには,血管撮影が有用である。

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