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虚血性脳卒中診療の現在;急性期診療からリハビリテーションまで

頚動脈狭窄症の超音波画像診断

西野繁樹

Pharma Medica Vol.30 No.2, 45-49, 2012

はじめに:動脈硬化と頚動脈超音波検査
 虚血性脳血管障害の根源は動脈硬化症であり,生活様式の変化に伴って,高血圧,脂質異常症,糖尿病などのいわゆる生活習慣病の増加が原因として注目されている。生活習慣病の予防や治療上で,全身血管の動脈硬化性変化を早期に発見し,治療することが重要視されるようになってきた。一方,超音波装置の技術発展は目覚ましく,画像の解像度や血流の検出感度の向上,多様な血流情報も測定可能となるなど,血管をより簡単に,より明瞭に観察することができるようになっている。これら超音波検査の特徴である非侵襲性,簡便性という利点により,全身血管の動脈硬化を体表から最も近く鮮明な画像で評価できる代表的な血管として,頚動脈をエコーで「診る」ことの需要が高まっている。もちろん,局所病変としての頚動脈の動脈硬化性変化,病変の進行は,即,脳梗塞などの虚血性脳血管障害につながることから,頚動脈をエコー画像で精密に評価することの重要性はますます増加している。本稿では,虚血性脳血管障害の診断における頚動脈超音波検査による画像診断についてまとめた。

KEY WORDS
●デュプレックス超音波検査 ●頚動脈狭窄症 ●NASCET

Ⅰ.虚血性脳卒中における頚動脈超音波検査:頚動脈狭窄症の検出

 虚血性脳卒中である脳梗塞は,アテローム血栓性脳梗塞,ラクナ梗塞,心原性脳塞栓に分類されるが,頚動脈狭窄症はアテローム血栓性脳梗塞の原因疾患として重要である。よく知られた頚動脈狭窄症に対する大規模臨床研究であるNorth American Symptomatic Carotid Endarterectomy Trial;NASCET(北米)とEuropean Carotid Surgery Trial;ECST(欧州)において,外科的治療である頚動脈血栓内膜切除術がアスピリンによる内科的治療に対して狭窄病変側での脳卒中発生を有意に軽減させると報告され,高度の頚動脈病変が脳梗塞の直接的な原因となり,その除去が脳卒中発生を防止する上できわめて有効であることが示された1)2)。頚動脈狭窄病変を探ることは,脳卒中のハイリスク群をスクリーニングし,治療介入のタイミングを知る上できわめて重要である3)。さらに,超急性期脳梗塞の治療として導入されたrt-PAに関連して,その適応を判断する上で,大動脈解離をはじめとする大血管病変の有無を把握することは非常に重要で,こうした病態のスクリーニングにおいても頚動脈超音波検査の役割が期待されている4)。超急性期から慢性期まで,虚血性脳卒中の診療において,狭窄を代表とする頚動脈病変を非侵襲的に,効率よく,リアルタイムに検出できる頚動脈超音波検査の重要性が高まってきている。

Ⅱ.頚動脈病変の超音波画像診断

 頚動脈病変に対する超音波検査での評価は,①断層法による血管走行の確認と血管内腔の観察,②内膜中膜複合体厚(Intima-Media Thickness;IMT)計測,③プラーク計測,④血管径測定および狭窄率の算出,⑤血流評価の各項目について行う。頚動脈超音波検査法に関する学会策定のガイドライン5)に標準的な検査の内容が示されており,具体的な検査方法や症例に関しては筆者らの拙著6)などを参考にしていただければと考えるが,本稿ではその要点のみをまとめる。

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