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虚血性脳卒中診療の現在;急性期診療からリハビリテーションまで

脳卒中急性期医療の現状と問題;東京都の脳卒中医療

鈴木一郎

Pharma Medica Vol.30 No.2, 23-27, 2012

はじめに
 2005年10月に保険診療上,脳梗塞患者に対する血栓溶解薬(t-PA)の経静脈的血栓溶解療法が承認されたのを機に,全国的に脳卒中の救急医療体制の再編が行われてきている。t-PAは脳梗塞発症後3時間以内に静脈内投与する必要があるため1)-3),脳卒中患者を発症後速やかに医療機関に搬入できる救急搬送体制と,脳卒中急性期医療を24時間にわたり常時提供できる医療機関の診療体制の整備が求められている。

KEY WORDS
●脳卒中 ●t-PA ●救急搬送 ●地域医療連携

はじめに(続き)

 脳卒中は,脳梗塞以外に脳出血およびくも膜下出血を含み,その重症度も軽症から重症までのばらつきがあり,さらに病態に応じて内科的治療・血管内治療・脳外科的治療を必要とするなど,脳卒中急性期医療機関に求められる課題は大きい。また,脳卒中急性期医療には,発症後可及的速やかな急性期リハビリテーションの開始と,それに引き続いて切れ目のない回復期リハビリテーションにつなげるための地域医療連携体制の構築も求められている。ここでは,東京都の脳卒中患者の救急搬送体制と脳卒中医療の地域医療連携の現状と問題について述べる。

Ⅰ.東京都の医療環境

 東京都の人口は約1,320万人(23区約900万人,多摩地区約420万人)で全国の人口(12,800万人)の約10.3%を占めるが,その面積は約2,190km2で日本の総面積の0.58%に過ぎない。その結果,人口密度は5,541人/km2(区部:約14,000人/ km2,多摩地区:約3,600人/km2)で,全国平均の343人/km2を大きく上回っている。東京都は計13(区部が7,多摩地区が5,島しょ地区が1)の二次医療圏に分けられているが,同じ東京でも区部,多摩地区,島しょ地区では医療環境は大きく異なり,それぞれが固有の問題を抱えている。東京都の一般病院の病床数は約83,000床で全国の同病床数(約911,000床)の9.1%,人口10万人当たり換算では655床で全国平均(713床)の92%となっている。回復期リハビリ病床に関しては,最近増加傾向にあり,2011年度には約4,300床となり,全国の同病床数(約62,000床)の約7%を占めている。しかし,人口10万人当たり換算では約33床で全国平均(約48床)の約7割に過ぎない4)。

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