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虚血性脳卒中診療の現在;急性期診療からリハビリテーションまで

脳梗塞の急性期血栓除去療法の実際

上坂義和

Pharma Medica Vol.30 No.2, 17-21, 2012

はじめに
 Recombinant tissue plasminogen activator(rt-PA)静注による再灌流療法の登場は,超急性期脳梗塞治療において画期的であったことは論を待たない。点滴静注という簡便な治療により病前生活レベルに復帰できる患者が有意に増加することが示されており1),現在でも広く脳梗塞患者に恩恵をもたらしうる治療法である。

KEY WORDS
●Merci retriever ●Penumbra system ●rt-PA静注療法

はじめに(続き)

しかし,rt-PA静注療法の問題点も明らかになってきた。rt-PA静注療法では2時間以内の完全再開通率は20~30%,部分再開通も60%程度であり,うち34%に再閉塞を認めるとの報告がある2)3)。閉塞部位による再開通率の差異も指摘されている。Kimuraら4)はrt-PA静注後1時間の部分再開通を含めた再開通率は,内頚動脈(ICA)閉塞で31.8%,中大脳動脈(MCA)M1閉塞で50.0%,MCA M2閉塞で58.3%と報告している。また,MCA M1閉塞でもより近位閉塞で再開通率が低いことも指摘されている5)。最近の報告でも発症4.5時間以内にrt-PA静注療法を施行したICA閉塞症例の3ヵ月後のmodified Rankin Scale(mRS)0,1症例は20%であり6),非施行例の10%に比較すると良好であるものの,他の閉塞部位に比して予後は悪い。再開通を得られることが予後良好のための大きな因子であることも示されていて7),ICA閉塞やMCA近位部閉塞例ではより有効性の高い再灌流療法が模索されてきた。Off-label使用でAmplatz Gooseneck8)などが使用されてきたが,米国では2004年にMerci retrieverが,2008年にPenumbra systemが米国食品医薬品局(FDA)により認可された。わが国でもMerci retrieverが2010年に,Penumbra systemが2011年より保険収載となった。

Ⅰ.Merci retriever

 Merci retrieverはループ状の形状記憶がついた先端ワイヤーを,専用のマイクロカテーテルを介し閉塞部に誘導し,このループで血栓を補足するデバイスである(図1)。

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