はじめに  欧米先進国のみならず経済発展の続くアジア諸国で肥満と肥満に起因する疾患が急増しており,肥満症対策は国際的にも重要な課題となっている1)。日本人は欧米人に比して軽度の肥満であっても,2型糖尿病をはじめとしてさまざまな健康障害を引き起こしていることが明らかになっており,わが国の実態にあった肥満,肥満症の定義が求められている。また疫学的なエビデンスとともに分子生物学から得られた知見が両輪のように働きながら,肥満症に伴う合併症の低減に向けて貢献していくことが求められている。